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散文
無題



3月23日の今日の景色を私は忘れない。
まだ寒いけれど日差しがさしてコントラストが綺麗ね、白っぽい光。光を正面から受けて微笑む彼女を、彼女の首から上をもう思い出せない。消したのかもしれない。数分前の話の様に思うが体感時間は30分に思われる。時計など見る心の余裕は無かったので、そんなことはもう確認しようがない。「どうする」そう聞かれた時私は酷く困ったことを覚えている。彼女の表情は思い出せない。首から上を消したからだ。口を尖らせて悩んでみせた。待つか待たないかではなく、彼女達の経緯についてだ。もし約束事をしていたのなら私はヒールではないか、そして彼女の微笑みが私に向けられないのを耐えれないのではないか。答えはイエスだ。そして私は逃げた。彼女が手を私に向けて振ったのだ。致命傷だった。顔の作り方も忘れて短く手を振り返した私がいる。表情を長く見せていたくなかった。不恰好だった。私はこのコントラストの中で逆光だった。

すぐに踵を反した。後悔はしてないと強く吐いておく。それからすぐに自転車と自転車の間にしゃがんだ。泣きそうだった。自転車のペダルが腕にひっかかって痛かった。「痛い」言ってから涙が落ちた。コンクリートとさらに強くコントラストを作り出して綺麗だった。痛かった。目も腕もしゃがみ続けた足も胸も痛かった。足がついに限界を迎えてぱちぱちしている。色にしたら綺麗だろうな。世界はまだコントラストに満ちている。しゃがんだら十円玉を見つけた。神様は優しい。

涙は止まらなかった。友人が通らなくて良かったと思う。到底私は愛されないのだ、否、一番にはなれないのです。彼女の方を愛しているのだろう。私は両の手に収まればいい方か。私に手を振ったのは来るなという事だろう。強い肯定を意味する。二人で帰りたいのだ、私は邪魔なのだ。彼女のことが、好きなのだ。私よりもうんと。

風が吹いてきた。心は軽い。春風だろうか。春は事故が増えるらしいじゃないか。ああ、そうゆうことか。朝から今日は危ないって思ってたんだ。私は自転車の鍵を痺れた足で震えて開けた。それから感覚のない足でゆっくりと北から吹く風に逆らって、
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日常
by 五化
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